学生の方は冬休み中、お勤めの方は仕事納めでしょうか?
年の瀬も迫り、深大寺は新年に向けての準備に追われています。

そんな中、第7回深大寺恋物語公募の募集要項を公開致しました。
作品の受け付けは、明けて1月5日到着分からです。

今年も昨年の募集要項から変更箇所があります。
せっかくの大切な作品が、規定外で選漏れとならないよう、
熟読の上、ご応募ください。
第7回「深大寺恋物語」募集要項

作品を書く前に1度読み。
書き終わったら、作品と見比べて1度読み。
投函・送信前に最終確認で1度読み。

最低3度読むと良いかもしれません。
悲しいことにそれぐらい、記入漏れや、規定外の作品が多いのです。
分からないことがありましたら事務局までお問い合わせください。
作品を提出後に規定にあってるかどうかにはお答えできませんのでお気をつけください。

あたたかな部屋で、または年始に深大寺をお参りしながら案を考えてみてくださいね。

尚、事務局は12/29から1/4までお休みです。
皆さまからのご応募心よりお待ちしております。

 第7回 短編恋愛小説「深大寺恋物語」 募集要綱

 

第7回 「深大寺恋物語」公募ポスター【募集内容】
関東有数の古刹である天台宗別格本山「深大寺」の発祥は、その名前の由来でもある「深沙大王」という神様にまつわる「縁結び」の物語に由来する、と伝えられています。「深大寺」という歴史あるお寺、その門前に位置する数多くの「そば屋」や「お土産屋」、そして「東京都立神代植物公園」をはじめとする、その界隈の「豊かな自然や花と緑」を盛り込んだ、現代のラブストーリーを募集します!

【応募規定】
◆Eメールでの応募を推奨。データは必ずワードもしくは一太郎で作成のこと。(メールに直接記入やPDFは不可)
◆FAXでのご提出及び締め切り間近の事務所への持ち込みはご遠慮ください。(郵便受け投函はOK)
◆A4サイズ1枚400字設定で、空白も含み10枚以内。必ず「横向縦書」。
◆原稿用紙を使用する場合は400字詰めの用紙で、清書であること。原稿と表紙は分け、原稿にはタイトルも含め、本文及びページ番号以外一切記載しないこと。
◆作品の表紙は公式HP(http://novel.chofu.com)からダウンロードしたものを使用。
◆表紙をダウンロードできない方は、原稿とは別に手書きの表紙を用意し、住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号、作品のタイトルを記載。
◆原稿には穴を開けず、表紙を除いてページ番号をふり、折らずに送ること。(FAXは不可)

◆一度提出した原稿の修正、並びに規定に合っているか等の問合せは不可。
◆応募点数制限なし。未発表作品に限る。

「規定の表紙」+「縦書400字設定済みの本文用フォーマット」をダウンロード「規定の表紙」+「縦書400字設定済みの本文用フォーマット」>(word)

募集要項をダウンロード募集要項>(pdf)


【応募資格】
不問

【審査員】
<村松友視>
1940年4月10日東京生まれ。
慶応義塾大学文学部哲学科卒業後、中央公論社勤務を経て作家となる。
1982年『時代屋の女房』で第87回直木賞受賞。
1997年『鎌倉のおばさん』で第25回泉鏡花文学賞受賞。

<井上荒野>
1961年東京生まれ。
成蹊大学文学部英文学科卒業後、出版社でアルバイト。
その後、大学受験生向け新聞のフリーライターに。
その傍らに書き上げた小説「私のヌレエフ」が第1回フェミナ賞を受賞。
2008年『切羽(きりは)へ』で第139回直木賞受賞

<清原康正>
1945年旧満州鞍山生まれ。
同志社大学大学院文学研究課修士課程中退。出版社勤務を経て現在、文芸評論家。
日本ペンクラブ理事。
1993年『中山義秀の生涯』で第7回大衆文学研究賞を受賞。
著書に『山本周五郎のことば』『歴史小説の人生ノート』など。

【賞 金】
最優秀賞10万円(1編)、 審査員特別賞5万円、 調布市長賞 など

【応募締切】
2011年7月7日(木)13時(必着)

【発 表】
2011年10月もしくは11月に開催予定の「深大寺そばまつり」並びに「深大寺恋物語公式HPhttp://novel.chofu.com/」にて

【主 催】
深大寺短編恋愛小説実行委員会

【共 催】
深大寺そばまつり実行委員会・特定非営利活動法人 ちょうふどっとこむ

【協力(予定)】
アカデミー愛とぴあ・深大寺奉賛会・深大寺そば組合・調布タウン誌182、J:COM調布・世田谷、調布エフエム放送株式会社・林建設株式会社

【後援(予定)】
調布市・深大寺・社)調布青年会議所・財団法人 調布市文化・コミュニティ振興財団・調布市商工会・調布市教育委員会・調布市観光協会・社会福祉法人 調布市社会福祉協議会・調布市文化協会、角川大映撮影所、日活撮影所、京王電鉄株式会社、京王電鉄バスグループ

【応募先】
〒182-0026 東京都調布市小島町2―55―1調布南コーポラス102
                (ちょうふどっとこむ内)深大寺短編恋愛小説実行委員会事務局
電話:042‐487‐4282 FAX:042‐487‐4280
E-Mail:novel★chofu.com(★部分を@に変更の上、お送りください)  

【諸権利】
入賞作品の出版権、上映権、映像化権等の諸権利全ては主催者及び共催者に帰属。また、主催者及び共催者は、全ての応募作品について、その作品をホームページ等で掲載させていただく権利を有するものとします。

【その他】
応募作品の返却はいたしません。   

「6月の過ごし方が、わたしの課題なんです」

 助手席の加藤美樹は呟くように言った。
 僕は黙って車を運転していた。
 車は調布駅に向かっていた。
 信号は青に変わろうとしていて、前には中央道の高架橋が、横には白い紫陽花が見えた。

 「青山さん、6月は好きですか?」
 「好きだよ」
 「どうして?」
 「どうしてだろう」
 「私は嫌いなんです」
 「どうして?」
 「まず、祝日が無いじゃないですか。それに、天気は良くなくて気持ちが晴れないんです。わかります? この気持ち」
 「なんとなくわかるよ」
 「だけど、もっと他に理由はあるんですよ」
 「他には何?」 
僕が尋ねても、加藤美樹は黙って窓の外を見続けていた。
 加藤美樹は、このとき大学2年生だった。調布駅から京王相模原線で数駅行ったところにある女子大に通っていた。
 僕は、加藤美樹を最初は調布駅まで送っていたが、数ヶ月もすると家まで送るようになっていた。

加藤美樹と僕は、喫茶店の店主とアルバイトという関係だった。ただ、そうじゃなくなるかもしれない夜があった。

 「今夜は帰りたくないんです」
 助手席に座ってすぐに、加藤美樹は言った。
 「どうして?」
 「面倒くさいんです。もう何もかも」
 僕は理由を聞かなかった。
 「今夜は、青山さんの家に泊めてもらえませんか?」
 「構わないよ」
 僕はそう言って、加藤美樹の住むマンションの前に車を止めた。
 加藤美樹は黙って車を降りて、自分の部屋に帰っていった。

 その夜の後も、加藤美樹は何事も無かったかのように僕の店で働いてくれていた。

 加藤美樹は、大学を卒業すると、6月が一番忙しいはずのブライダル業界に就職した。
 喫茶店を辞める日に、加藤美樹は自分で描いた小さな絵を壁に掛けていった。水彩絵の具で描かれた、薄いピンクのスィートピーの花の絵だった。

 「絶対に遊びに来ますからね、それまでお店やっててくださいね」

 加藤美樹はそう言ったが、就職してからは会っていない。一度くらいは本当に遊びに来るつもりだったのかもしれない。

 でも、僕はもうそれを確かめることはできない。

 喫茶店を閉めることにしたからだ。

 加藤美樹が僕の店を辞めて、まだ3ヶ月も経っていない6月のことだった。

       *

 『6月の深大寺に来ると幸せになれる』

 そう、喫茶店に来た夫婦は言った。

 「昔から、そう言われているんだよ。特に雨の降る6月が良いんだ」
 「初めて聞きましたよ」と、僕は言った。
 「地元の人は言わないのかもしれないね。だけど、とにかくそうなんだよ」
 「何より私たちが証拠よ。結ばれた二人がさらに強く本当に結ばれて幸せになるには、雨の中を二人で一つの傘に入ってお参りするのが良いの」
 「それには、6月の梅雨の時期が適しているんですね?」
 「そうよ」
 「そのお参りした日に結婚を決めたんですか?」と彼女は質問した。
 「そうだよ」
 「だから、毎年6月になると深大寺にお参りに来るようにしているのよ」
 「うらやましい」彼女は微笑んで言った。
 「あなた達もそうでしょう?」
 「私たち、入籍はまだなんです」
 「あら、一緒にお店をやっているのに?」
 「私はプロポーズしているんですけど、彼が受け入れてくれなくて」
 「逆ですよ」と僕は言った。
 「まあ、結婚しているようなものだろう。あとは紙に書くか書かないかだけの問題だからな」

 しかし、紙に書かれることはなく、彼女は僕の前からいなくなった。

 この喫茶店は彼女と始めたものだった。学生時代から、お互い協力してお金を貯めて開いたのだ。
 僕は、この街にある大学で電子工学を勉強するために地方から上京してきた。彼女は生まれも育ちもこの街で、高校を卒業すると、新宿にある製菓

の専門学校に通っていた。
 彼女と僕は、共通の知人を通して知り合った。
 彼女の夢はケーキの美味しい喫茶店を開くことだった。当時、将来をろくに考えていなかった僕は、彼女の夢に引きずられるようにしてアルバイトに

明け暮れ、大学を中退した。

 喫茶店は小さかったが、それなりに繁盛していた。京王線の駅からも遠く、深大寺や植物公園からも少し離れているのに何とかやっていけたのは、

彼女の作るケーキのおかげだった。
彼女の夢は現実になった。
しかし、開店して5年目に彼女はいなくなった。彼女がいなくなると、もともと彼女の夢だったこの喫茶店は、夢の抜け殻になってしまった。
彼女の夢も、彼女といっしょにしてあげたほうがいい―僕はそう考えて、喫茶店の窓に閉店を知らせる張り紙を出した。

 その張り紙を貼った翌日のことだった。
 「本当に、このお店を閉めちゃうんですか?」二人組みの女の子のお客さんのうち一人が聞いてきた。
 「名物のケーキが出せなくなってしまいましたから」
 「でも、マスターさんの作るケーキも美味しいですよ」
 「一人だと、いろいろと大変なんです」
 「じゃあ、わたしがアルバイトとして手伝います。大丈夫ですよ、わたし体力には自信がありますから」
 そう宣言すると、加藤美樹は次の日から僕の店にアルバイトに来てくれることになった。
加藤美樹は、それから2年間ほぼ毎日働いてくれた。
       *

しかし、加藤美樹が大学を卒業し就職して喫茶店を去ってしまうと、今度こそ僕は一人になった。加藤美樹が描いたスィートピーの絵は、僕をさらに孤

独にさせた。
僕は一人で喫茶店にいることに耐えられなくなっていた。
 それと同時に僕は一人にもなりたかった。
 僕は店を閉めてからは、しばらく一人で部屋に居ようと決めた。お金には少しだけ余裕があった。しかし、先のことなんて考えたくなかった。これまで

のことを考えたかった。

 喫茶店を閉めて一週間後の雨の強く降る昼間に、加藤美樹から電話がかかってきた。僕はまだ寝ていたが、出ることにした。
 「青山さん、お店閉めたんですか?」
 僕しかいない僕の部屋に、受話器越しの加藤美樹の声が響いた。
 「どうしてですか?」
 「電話では説明出来ないんだ」
 「じゃあ、今からわたし行きますから。お店にいてくださいね」

 そう言うと1時間後に、加藤美樹は本当にやって来た。
 「仕事はどうしたの? 6月は特に忙しいんだろう」
 「仕事なんて、もうどうでもいいんです」
 加藤美樹は僕に閉店の理由を聞かなかった。
 「青山さん、それより深大寺にお参りに行きません?」
 「どうして?」
 「わたし、お願いしたいことがあるんです」
 「何を?」
 「わたしの夢をです」
 「どういう夢なの?」
 加藤美樹は、僕の耳元で加藤美樹の夢を囁いた。

 それから、加藤美樹と僕は外に出た。加藤美樹は自分の傘を持たずに、僕の傘の中に入ってきた。

 僕たち二人は一つの傘の下、雨の深大寺へと向かって歩いていった。

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<著者紹介>
青山 祥(神奈川県川崎市/25歳/男性)

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主催

深大寺短編恋愛小説実行委員会
第8回公募募集要項を公開しました! 受付は平成24年1月1日より承ります。ただし、事務局は1月4日までお休みですので、お問い合わせは1月5日以降でお願いします。今年度もみなさまからの多数のご応募、お待ちしております!

紹介作品について

ブログにて紹介させていただいております作品は、第一次審査を通過し、且つ、メールにてご応募いただいた方の作品のみを掲載させていただいております。 何卒ご了承ください。
また、下記ミラーサイトにてレビューも公開しております。
→ミラーサイトを見る

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